年内に読みきれるかどうかわからないけど、この本を購入しました。スティーブ・ジョブズが書いたわけではないけど、ジョブズの生き様について書かれた本です。当のスティーブ・ジョブズはご存知の方も多いと思いますが、あのアップルコンピュータの共同創立者であり、CEO(最高経営責任者)です。
アップルコンピュータといえば、iPodやMac(マッキントッシュ)で知られる、今となってはコンピュータに詳しくない人にも知名度がありますね。ま、それを有名にしたのがスティーブ・ジョブズってわけです。
話は逸れますが、このスティーブ・ジョブズ、かなり先見性のある人物だと思います。現在、日本のポータブルオーディオプレーヤー市場をアップルのiPodと日本企業のプレーヤー勢(ウォークマン、D-snap…)が鎬を削っています。
まぁ、市場を見れば一目瞭然ですが、どう見てもアップルのiPod勢が圧倒的に優勢ですね。僕としてはSONYにはもっと頑張って欲しいのですが…でもiPodの方が好きです。持ってないけど。
対iPodの最有力候補として、一応SONYを挙げますが、どうして両者にここまで明暗がはっきりしてしまったのでしょうか。SONYの著しく消費者の利便を損なう著作権保護技術が足をひっぱっている、という記事はよくWeb上で見かけますね。
それもさておき。僕はここまでアップルのiPodが成功した要因はジョブズの先見性によるものが大きいと思います。まぁ、ここで僕がどんな意見を言おうと所詮後付けの評論なんですが。それを自覚しつつ続けます。
先見性、といえば、「○年先にはどういう技術が可能で、その技術が可能ならばこういうことができる、そしてこんな世の中になるだろう」というビジョンを明確に持つことです。
ハードディスクに関して例を挙げると、(学生の頃の記憶なので)多少記憶が曖昧ですが、5年前の2000年、東芝のエラい人(技術部門の人だったかな?)の講演を聞く機会が学校から用意されました。講演内容はほとんどと言っていいほど覚えていませんが、一つだけ印象に残っていたことがあります。それは、「すでに、300Gの容量を持つハードディスクの開発に成功している」という一言でした。当時の2000年から言えば、一般的なPCのハードディスクの容量は多くても10Gとかその程度だったと思います。それが、2000年の当時で300Gのハードディスクが出来上がっている、という話は非常に印象に残りました。
それで、2005年12月の現在、市場には300Gのハードディスクが15000円やそこらで手に入る状態です。というか、ようやく300Gという容量が一般的になりました。当時の技術に詳しい人はおそらく2005年にはそんな状況になるということくらい当たり前の話だったと思いますが、ポイントはここから。
じゃあその低価格、大容量になったハードディスクで何ができる?
ということです。で、ハードディスクが大容量になるって話題は、当時の僕のような一般人には全然なじみがなく、本気でスルーしちゃったりするわけですが、フラッシュメモリの容量も飛躍的に増大していくという話はハードディスクのそれよりも知名度が高かったはずです。
当時の僕のような学生ですら知っていた話ですから、もちろん当時の技術者たちは、確実に現在のようなHDDやメモリが大容量、低価格化することを知っていたわけです。それも2000年や、ひょっとするとそれ以前から。
思いっきり話が逸れましたが、僕が何を言いたいかというと、当然SONYの上層部もアップルの上層部もこの事実は知っていたはずです。あー、いやちょっとまって。今のSONYの様子を見ていると、「大容量化することは知っていたが、現状をイメージできていなかった」と僕は思っています。
アップルのジョブズは、おそらくHDDやメモリが大容量、低価格化することに対して、「何ができるか」ということを真剣に考えていたはずです。それも、SONYなどの一般企業に比べて遥かに早い段階で。
とすると、ジョブズは先の時代のイメージをつけていて、そのイメージに対して行動をとっていわけです。で、話はiPodに戻ります。現在のiPod nanoの大成功の背景には、早い段階からの周到な準備がありました。
それは、半導体メーカであるサムスンのメモリ生産ラインの4割を押さえたという事実です。iPod nanoはこうしてメモリを大量に仕入れることで、2G、4Gという大容量のフラッシュメモリを搭載したプレーヤーを、あの価格で売ることができるのです。
これを知った僕は「iPod nanoのためにここまでやるか!?」と思いましたが、これはメモリの大容量、低価格化と携帯音楽プレーヤーの容量についてのビジョンを明確に持っていたジョブズの先見性に他ならないでしょう。
と、ジョブズがいかに先見性をもっているかを語るのにここまでかかってしまいました。僕は思います。スティーブ・ジョブズすげぇ!